愛なんていらない。
わかってたことだけどね。
陽架李がいないと、僕らはバラバラで、同じ方を向いて歩くことはできないから。
縋っている、って思われるかもしれない。
その通りだと思う。
僕らはそういう進み方しか知らない。
「おはよう」
「…陽架李!?」
大きな声を出した僕に「うるさいよ」と笑った陽架李は、彼女そのものだった。
僕らが求めていた光…
「もう、来ないんじゃないかなって、思ったんだよ…」
込み上げてくるものが抑え切れそうになくて。
「千夏」と、陽架李が抱きしめてくれたから、驚いて引っ込んでいった。
落ち着く…陽架李の匂いだ。
どうして彼女はこれほどまでに優しいんだろう。
優しすぎるから、みんなが吐き出したくなっちゃって、背負い込ませてしまって。
これ以上は負担をかけたくない。
だから強い男になろうって決めたのに。
弱音を吐いてしまいそうになるのはきっと。
僕が脆いからだ。