愛なんていらない。
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「陽架李」
意識が飛びかけていたところで声を掛けられて、ハッとする。
膝に多少の重みを感じながら、声の方向に視線を向ける。
「大丈夫か」
「うん」
目に掛かっている髪をさらりとよける。
天使だなぁ、寝顔。
「疲れてたんだよ、ずっと心配してたから。眠れなかったみたいだ」
「陽架李も」と付け足して、眉を下げる財に、胸が痛む。
こんな顔をさせたいわけじゃなかった。
心配させてしまった…
私が抜けたことで、衝突してしまうことくらい、予想できてたのに。
どこかで期待してた…上手く行くんじゃないかって。
元々無理矢理にくっつかせていたようなものだった。
本気で心から仲間になることなんて不可能だったんだ。
私が間に入らなくても大丈夫な日がいつか、って何処かで夢見てた。
本当に夢だったんだ………