白い監獄
「…うーん、とにかく暗いし、こんな雪の中で女の子が独りでいるのは良くないよ…明日明るいときに一緒に探してあげるから、今日は大家さんに事情を話して、帰ろう?」

帰る

そっか…明日明るくなってからの方がいいかな…

でも雪が…

「こんなに暗いし、誰も拾わないうちに雪が積もるよ。とにかく風邪引いたら大変だし、ね?」

風邪引いたら…

そうだよな…明日でも大丈夫かな…

私は仕方なく頷きました。

「よし!送ってあげるよ…」

親切な竜井さんは大家さんの家の前までついて来てくれます。

「彼氏と同棲してるとか思われたから大変だから、離れてるね」

柔らかく笑う…

王子様だ!





「スペアあるからこれあげるけど…困ったわね…
もし見つからなかったら、何かある前に鍵を替えてもらわないといけないわ」

「え?いくらくらいかかりますか?」

「5、6万くらいかしらね…」

ひぇー!…ど、どうしよう…お母さんには言えないし…

「…頑張って探します…」

スペアキーを握り締めて、私はトボトボと大家さんの家を出ました。
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