白い監獄
竜井さんのこめかみからはたくさんの血が出ています

私はそれを見てまた更に青ざめてしまいました

「ごめん、雫ちゃん…。確かに捕まえたんだけど…
カバンか何かで殴られて、金具か何かが…」


何で…

何で謝るんですか?

「謝らないでください!びょ、病院に行きましょう!!」

私は慌ててタクシーを呼び、竜井さんを乗せて近くの病院に連れていきました

私の手はその間ずっと震えていて止まりませんでした。

自分が恐怖から逃れたいがために、誰かに甘えた結果他人を傷つけてしまった…

私は何て自分勝手な人間なんだろう…

タオルを竜井さんのこめかみに当てながらずっと謝り続けました

どんなに謝っても、許されることなんかじゃないのに!



竜井さんの素敵な顔は、何針か縫われてしまい私は申し訳なさでいっぱいでした

「いや、男の勲章だよね!」

笑顔で戻ってきた竜井さんの顔を見て、私は思わず涙が出てしまいました

「…雫ちゃん?」

「ご、ごめんなさい…竜井さん…本当にごめんなさい…私のせいで」

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