白い監獄
少し離れた街灯の下、頭に雪の積もった竜井さんが私に気付いて微笑む

「大丈夫?」

「はい」

何だか少し暖かい気持ちになります。

大家さんの家から少し離れてる私のアパート

また少し歩く…

「明日また探す?」

「はい…鍵を替えるお金は無いので」

「手伝おっか?」

「いいえ!いいえ!充分ですから気にしないでください!!友達動員しますから!」

「そっか、俺、もう少し先のアパートに住んでるから何かあったら声かけてね」

「ありがとうございます」

社交辞令でも嬉しいです。

アパートについて鍵を回す

「あの、良かったらお茶くらい出しますので!」

「いいよ、いいよ、気を遣わないで早く温まりなよ。それにこんな時間に女の子の部屋に入れないしね」

紳士だ!

「本当にありがとうございました」

「うん、またね。」

私はドアを閉めました。

玄関の鏡で自分を見ると、頭には雪が積もってるし、鼻も頬も真っ赤で何だか可愛さ五割引き…

はあ、どうしよう…

冷え切った部屋に入りストーブを付け、お風呂にお湯を入れる
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