白い監獄
「私達は2時間前に家を出てるけどね」

「私なんて3時起きだけどね…」

「はー?何で?」

「聞いてよ村井〜、鍵落として大変だったの〜!」

私は大袈裟に村井のかばんを揺らしながら事情を説明した。

「文化大の竜井先輩って、プリンスじゃねぇの?」

「プリンス〜?」

毬絵と私は力無く返します。

「文化大の文化祭に行った時、ミスコンで一位を取るとプリンスになるって言ってて、確か竜井って…」

「やっぱり王子様だったんだ…」

「とか何とか言って、お前の例のストーカー、そいつなんじゃないの?」

「まさか!あんな素敵な人が何でそんな暇な事を!?」

…そう、実は私ストーカーにも悩まされているんです…

まあ、ひどいことはされていないんですが、課外授業が無い普通の時間に帰れる日は、家まで後をつけられて私のアパートを一周したりしていなくなる…という人なんですけど、家を知られてるなんて怖いんですよね…

それが高校二年になった夏くらいからなので、半年くらい続いているのです。

「何でそんなイケメンが雫みたいなチンチクリンを狙うのよ?」
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