あなたの恋を描かせて
……本当に何?
疑問の目で見ると明乃ちゃんが更に笑って言った。
「葵ちゃん……もしかして惚れちゃった!?」
「……はいぃっ!??」
恥ずかしがらなくていいよ〜、と言う明乃ちゃんの言葉に唖然とする。
惚れちゃったって……それってつまり、あれ、だよね?
意味が分かるにつれて自然と頬が熱くなる。
「ち、違うよ!!確かにかっこいい、とは思うけど、そういうのじゃなくて……」
「あら。素直になっていいのよ」
「ちなつちゃんまで!!」
うぅ……完全に二人とも面白がってるよ。
わたしが何を言っても無駄なんだろうなぁ。
はぁ、とついため息がもれた。
……まず、現実的に考えて、万が一わたしが城越くんのことをそういう風に見ていたとしても。
「わたしなんか、つりあうわけないのに……」
なんの特技も、なんの取り柄もないし。
ちなつちゃんや明乃ちゃんみたいに特別かわいいわけでも、美人なわけでもない。
そんなわたしが城越くんの隣に相応しいとは思えない。
「ほら、やっぱり好きなんじゃん」
「……え?」
………はっ!!
もしかして今のって、好きって認めちゃった発言だったの!?
「ち、違うから!!」
「葵ちゃんも頑固だねぇ〜」
………やっぱり、もうわたしが何を言っても無駄だね。
楽しそうに笑う二人を見ながら、わたしはガックリと肩を落とした。