あなたの恋を描かせて
*5*
な、なんだろう、この状況。
何がなんだか分からないうちにこんなことに……
昨日ちなつちゃんに言われて、お昼は楠くんといっしょに食べることになり。
わたしはむしろ二人の邪魔になるんじゃないかな?
という心配を抱きながらも、お弁当を持ってちなつちゃんにていていくと、まさかのまさかで城越くんまでいて。
頭がこの状況を理解していないなか、あっという間に学食に着いて、四人がけのテーブルに座って、今に至っている。
「あれ、水無瀬さん食べてないけど大丈夫?」
食欲ないの?と楠くんに言われてはっとなる。
「だ、大丈夫、です…」
「そう?無理はしちゃダメだよ」
「はい……」
ニコッとわたしに笑顔を向けてから、楠くんはちなつちゃんとの話に戻った。
ちなつちゃんに目を向けると、言葉では楠くんのことをあれこれ言いながら、その顔は少し嬉しそうで。
普段の大人っぽいちなつちゃんとは少し違う姿に、あぁ、恋してるんだなって思った。
そんな新しい一面を見れたことがちょっぴり嬉しかったりして。
ふと視線をあげると城越くんと目があった。
ドキッと驚きで心臓が跳ねる。
な、何か話題を……!
「け、剣道って大変なんですか?」
そう聞くと城越くんはちょっと驚いたように目を見張った。
わ、わたしったらなんて当たり前なことを質問してるんだろう……
恥ずかしくて思わず俯いてしまう。
「大変、か……確かにいろいろ大変だけど、楽しいよ」
「そう、なんですか…」
顔をあげると少し微笑んでいる城越くんがいた。