あなたの恋を描かせて
「赤崎さん、水無瀬さんはいっしょじゃないの?」
いつもいっしょにいるイメージがあったから、てっきりいっしょに帰っているのかと思ったが。
赤崎さんは少し驚いたように目を見張った。
けどそれは一瞬で、すぐに疑問を浮かべたような顔になる。
「帰りはいつも違うの。葵の帰る時間ってその日その日でバラバラだから」
ついでに家の方向も逆だし、と言う赤崎さんにそういえばそうだったな、と水無瀬さんを送ったことを思い出す。
「そうか……」
ということは、いつも一人で帰ってるのか。
あの道、結構人通りなかったけど……大丈夫か?
少し心配になってきたが、今そんなことを言ったら絶対……
「何?城越、葵のことが気になるの?」
俺の顔を見て赤崎さんはニヤリと笑った。
思わず目を背ける。
さすが颯の幼馴染みというか、彼女というか……
この人も勘が鋭い。
颯も、やっぱり〜、みたいな顔で俺を見てくる。
……さすが、その笑顔も似てる。
「そういえば、日向、部活中に水無瀬さんの名前呼んでたよな〜」
「、おいっ」
「へぇ……」
更に笑みを濃くする二人から逃げるように、俺は家に帰った。
しかしその後
颯からきたメールに思わず赤面。
「……これ、どうすればいいんだよ」
ちなつからお前にプレゼント!とだけ書かれた文面。
添付されていたものを見ると、なぜか水無瀬さんの寝顔の写真で。
颯からきたのだから、これは颯も見ているはず。
二人のしたり顔が容易に目に浮かんできた。
……絶対、俺が水無瀬さんを好きだというのはバレたな。
逃げたことが無駄だったことを悟った瞬間だった。