あなたの恋を描かせて
*6*
初めてお昼を四人で食べたあの日から、それが当たり前のようにわたしたちはお昼に集まっている。
最初のうちは緊張であまり美味しいと思えなかったけど、今じゃ普通に喋りながら食べられるようになって。
うん……慣れってすごいな、と少し感心しちゃったよ。
「じゃあ城越くんと楠くんは、中学の頃から剣道してるんだね」
練習試合をしたときも強かったもんなぁ、とぼんやりと考える。
そういえば、新たな事実だけど、ちなつちゃんと楠くん、城越くんの三人は同じ中学出身だったらしくて。
彼氏である楠くんのことといい、このことといい……
あまりちなつちゃんのことを知らなかったんだなぁ、と思って。
ちょっと寂しいなぁ……と思ったり。
「昔っから日向は剣道うまくて、俺なんかすぐに抜かれちゃったよ」
「颯もうまいだろ」
「うわー、日向から聞くと嫌味に聞こえる」
言い合う二人を見て、わたしとちなつちゃんは自然と顔を見合わせて笑った。
しばらくちなつちゃんと話していて、そういえば、と言う声にわたしは前を向いた。
「ちなつから聞いたんだけど、水無瀬さんって美術部だよね?」
「うん。と言ってもちゃんとした部活ではないよ」
ほとんど集まってお喋りだし。
大きなコンクールには作品出してるけど……
「趣味みたいなものだよ」
実際そうなのかな。
うん……家でも時間があったら絵を描いてるし。
「俺、一度水無瀬さんの絵を見てみたいって思ってたんだ!」
「えっ」
びっくりしてお弁当の玉子焼きを落としてしまうところだった。