あなたの恋を描かせて
み、見たいって……いきなりどうして……
そんなわたしの疑問を感じとったのか、ニッコリと楠くんは笑う。
「水無瀬さん、前にちなつに絵を見せてあげたでしょ?」
「……あ」
そういえば。
ちょっと前にちなつちゃんが何か用事があるとかで美術部に来て。
せっかくだからわたしの描いたものが見たい、って言われて見せたんだっけ。
「それを聞いて、俺も水無瀬さんの絵が見てみたいなって」
「うっ……」
そ、そんなキラキラした目でわたしを見ないでっ。
「で、でもわたしの絵なんて全然たいしたことないし……」
「あら。あたしは好きよ、葵の描いた絵」
「ちょっ、ちなつちゃん!!」
慌ててちなつちゃんの口を塞ぐけど、もう遅くて。
ギギギ、と首を回すと更に顔を輝かせた楠くんが……
「み、見てもらうほどのものじゃないです!!」
「でもちなつは好きなんでしょ?」
気になるなぁ〜、見たいなぁ〜と頼まれて。
ど、どうしよう……!!
ちなつちゃんに助けを求めるけど知らんぷりをされる。
も、もとはちなつちゃんが好きとか言うから!
おろおろしていると城越くんと目があう。
「城越くん……」
助けてください……と目で訴えてみる。
ニッコリと笑った城越くんに意味が伝わったのかと嬉しく思うと、
「俺も水無瀬さんの絵、見たいな」
と言われました。