あなたの恋を描かせて
それより、明日どうしよう……
仕方ない……取りに行くのは怖いもん。
ちなつちゃんにメールして、明日は無理って言おう。
「あ、もしもし?あーくん?」
ぴたり。
二階に行こうとしていたわたしは、え?と思ってお母さんを見る。
「お願いがあるの。今どこ〜?」
「――――」
「よかったぁ。じゃあ、向こうのおうちにね、あーちゃんのスケッチブックがあるの。
中学生のときに使ってた青いスケッチブック」
「――――」
「そうそう、それよ〜」
持って帰って来てねぇ〜、と言ってお母さんは電話を切った。
「これで大丈夫よ、あーちゃん。あーくんが持って帰ってきてくれるって〜」
「お母さん……」
いつもふわふわしているのに。
見た目とは違って意外に中身はしっかりしているんだよね。
「お母さん、大好きっ!!」
ぎゅっとお母さんに抱きつくと、あら?と少し驚いた声を出す。
「うふふ……お母さんもあーちゃんのこと大好きよ」
お母さんの温もりを感じながらしばらく話していると、玄関が開く音がした。
「帰ってきたのかしら?」
「多分?」
ガチャ、とリビングの扉が開いてお母さんとわたしはビクッとする。
それぐらい何故か不機嫌な雰囲気が漂っていて。
このあとパシリに使ったことを怒られました。