あなたの恋を描かせて
赤い顔で慌てるわたしに、城越くんは更に優しく微笑んで
「好きだよ……」
と言ったものだから。
「あ、の…うぅ……」
心臓が壊れちゃうんじゃないかってぐらい動いていて。
絵のことだって分かってるのに……
意識してる自分が恥ずかしくてたまらない。
「なーにこんなところで水無瀬さん口説いてんの」
「ほーんと。場所を考えてほしいわ」
はっとすると二人が戻って来ていて。
その顔はニヤニヤしながら城越くんを見ている。
「っ、うるさいよ」
そう言って背けた顔は、ほんのり赤いような気がしたけど……
きっと、気のせいだよね……?
お昼を食べてから、楠くんにも絵を見せると、すごいな!と誉められて嬉しかった。
今まで、自分が好きだから絵を描いてて、他の人に見せるものでもないと思ってた。
でも、他の人に自分の絵を見てもらって、誉められて。
自分が認められたような感じがした。
認められるって、こんなに嬉しいものなんだな……
教室の帰り道、
「また新しく描いたら見せてよ」
二人には聞こえないぐらい、小さく囁かれた。
それが、わたしと城越くんとの特別な約束みたいで。
「……うん」
心が、くすぐったい。
温かいものがじんわりと胸の中に広がる感覚。
この気持ちはなんだろう……
今はまだ分からないけど、いつか分かるのかな。
その気持ちの名前が分かったのは、それからすぐのことだった。