あなたの恋を描かせて
授業が終わると、颯は急いで帰りの準備をし始める。
「行くぞ、日向!」
「あぁ」
少しだけ急ぎながら、俺たちは水無瀬さんたちの教室に向かう。
そういえば、俺たちが水無瀬さんたちの教室に行くのは初めてだな。
遊びに行こう、と言うと赤崎さんはいいらしいが、水無瀬さんはちょっと待ってね、と言ってケータイを開いた。
しばらくして「えぇっ!?」と、驚いた声がしたと思ったら、水無瀬さんは慌てて窓を覗く。
何かあるのか……?
そんな疑問が解決される前に、水無瀬さんは途中だった帰りの準備をする。
どうやら今日は何か他の予定が入ったらしく、水無瀬さんは何度もごめんなさいと謝っていた。
頭を下げる姿に、こっちが申し訳なくなるほど。
「本当に、ごめんなさい!」
最後にもう一度謝って、水無瀬さんは教室を出た。
しーん、となる教室。
ここにはいつの間にか俺と颯、赤崎さんしかいなくなっていた。
「残念だったな、日向」
「ほんと、災難よね」
二人に哀れみの目を向けられて思わず苦笑する。
「確かに残念だけど、あれだけ謝られるとな……」
確かに、と颯も苦笑をもらす。
「まぁ、しようと思えば遊びに行く、なんていつでもできるからな」
また暇なときにでも四人で遊ぼうな、という颯の言葉に頷く。