press come dark behind
「夢原先生、そろそろ良いですか?」
にこりと笑うアキだけど。
その目は笑っていない。
むしろ目は、『早くしろ』と訴えている。
「ごめんね。良いよ続けて」
「わかりました。
では小島さん、依頼内容をお聞かせ願えますか?」
小島さんは頷いた後、持っていた鞄から、四つ折りの紙を取り出し、テーブルに置いた。
「この間・・・ワタシのダンナが、亡くなりまして」
「そうですか」
それだけかよ、アキ。
ご愁傷様とか言えないのか?
「亡くなった理由は、交通事故でした。
運転中に、向こうから、飲酒運転の車が来て・・・。
向こうは、トラックでしたから、普通の乗用車に乗っていたダンナは、亡くなりました」
思い出したのか、朱鳥さんは泣きだす。
しかしハンカチで目を拭いてから、また話し出す。
「ダンナが、亡くなってから、ワタシはダンナの、遺品を整理していました。
そうしたら、ダンナがワタシ宛に残した、手紙が出てきて。
もし自分が亡くなったら、開けてほしいって書いてありました」
そうなんだ。
私は1人で頷く。
「手紙には、ワタシの名前と、ダンナの名前、それに不思議な暗号文が書いてあったんです」
暗号文?
現実の世界で初めて聞いたわな。