press come dark behind
鞄から取り出した“何か”を、旭は大事そうに抱えながら持ってきた。
「・・・どうぞ、これが暗号を解く鍵です」
「「「え?」」」
旭が置いた“何か”を見た私、朱鳥さん、戸塚先生は、同時に驚いた。
驚くのも無理はないと思う。
だって目の前に置かれているのは、
パソコンなんだもの・・・。
「パソコンでダンナが残したメッセージがわかるんですか?」
「勿論です」
朱鳥さんはアキが頷いたのを見ると、パソコンを開き、電源ボタンに手をかけた。
「待ってください小島さん。
パソコンの電源をいれても、意味はありません」
「どういうこと・・・?」
「パソコンのキーボードだけを見れば良いのです」
キーボード・・・?
「ご覧ください小島さん。
パソコンに文字を入力するときは、大抵の人がローマ字で入力するでしょう。
しかし稀に、アルファベットの下に書かれている平仮名で入力する人もいるのです。
旦那さんが残したメッセージも、平仮名だけ見れば、解読できるのです」
「・・・本当だわ。
3のキーの下には、“あ”と書かれている。
Lの下には・・・“り”ね?」
「お次のTの下には、“か”と書かれていますよね?
“あ”“り”“か”だけですと、意味がわかりません。
そう考えると、Tの次に書いてあった、(“)の役割も見えてきます」