僕が君を好きなわけ
…その直後、僕は男であることがバレ、その場でボコられ下僕人生が始まったのだが。
正直すぎた僕も悪いけど、何も全力で殴ることなかったんじゃないかなって、今でも実はひっそり思ってみたり。
結果僕は。

『あんたっわたしをダマシタばつよっ!げぼくになりなさいっ!』


あの当時、よくもまあそんな言葉を知っていたものだと思う。
…よりにもよって『下僕』。

友達だとか子分でもなく、…『下僕』。

もちろん、ただのイジメられっ子だった僕に、その言葉の意味が分かる筈もなく。

『…うん。』

ボコられつつも、華乃の鮮やかさに目を奪われ、泣きつつも半ば惚けるように返事したのが全ての始まり。

小中と同じ学校は当然で。
その後同じ高校進学。
流石に離れるかと思ったけど、偶然にも同じで。
『疲れた、荷物持って。』
『明日から、迎えに来なさい。』
『私に逆らうんじゃないわよ。』
『クリームパン買ってきて。はい、お金。』

などなど。
今では公認の犬。
裏でそう呼ばれてるのも知ってる。

それでも良いと思ってる。
いい口実だ。
僕は僕のため、こうしているんだから。

けど。

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