僕が君を好きなわけ
華乃は美人だ。


年を重ねる毎に可愛いから綺麗へと変わっていった。


それと比例するように、華乃を『女』として見る輩も増えていった。
僕の知る彼女が、僕だけの彼女じゃなくなっていくのがひどく不思議だった。

そして、中学二年生の春だったと思う。

『彼氏できたから。』

その、今となっては恒例の台詞を聞くこととなった。
あの当時は、正直…泣いた。

つまりは自分という存在に、魅力的なものは皆目無かったということだからだ。
もう、お役御免。
幼馴染みの思い出と自分は華乃に忘れられていくのだ。
そう思っていた。

…ら。

『別れたから。クリームパン買ってきて、はいお金。』


一週間と経たず、華乃は僕の部屋へと現れ、言い切った。

相変わらず突拍子もなくツッコミどころ満載だったが。

華乃がまた僕のところに帰ってきてくれた事が嬉しくて、僕は『犬』へと戻ったのだ。



華乃は美人だ。
頭もいい。
己の意見というものも、しっかり持ってる。
強情で意地っ張り。
強気で傲慢。
高飛車で女王様。

…あれ?

まぁ、彼女とはそういう人間で、僕とはこういう関係で。


そして僕は、彼女が好きで。
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