シオン【完結】
あの事故へのタイムリミットが刻一刻と迫って来ている。
時計をつい、何度も確認してしまう。
放課後だから、まだなのに。
一秒一秒が長く感じる。
授業なんて頭に入らない。
ノートには気付けば事故について書いていた。
“今日の放課後”
“どうすれば?”
…話したい事があるとかなんとか言って、教室に留めておくしかないかな。
やっとの事で休み時間になると、祥太郎はすぐに久美の元へ向かう。
「もう怒ってない?」
「……トイレ行って来る!博美!」
「え。トイレは卑怯。俺も付いてく」
「変態!」
あっかんべーをしながら、久美は博美の腕を強引に引っ張って教室を出た。
呆然とその場に立ち尽くす祥太郎の肩を叩くと声をかける。