シオン【完結】


休み時間ギリギリに戻って来た久美。
祥太郎と話さない様にしてるな、こりゃ。


キスした、なんて。
別に恋人同士なら恥ずかしい事でも何でもないのにな。

高校になったらもっと下世話な会話をしてるっつうのに。



教師の話を聞きながら、俺は再度窓の外を見る。
どんどんと薄暗くなって行く雲達を眺めて、これからの事を暗に危惧してる様な気がして。


そっと視線を黒板に移すと、ノートに写した。


雨は降ってなかったから、大丈夫だろうな。


結局、昼になるまで祥太郎や俺は久美と話が出来ず仕舞いだった。

肩を落とす祥太郎。
それを苦笑いで見守る俺。


「祥太郎、元気出せ」

「…おう」


はあっと盛大な溜め息をつく、祥太郎の肩をポンポンと叩くとお手洗いへと向かう。

用を足してから出ると、ちょうど隣の女子トイレから出て来た久美とばっちりと目が合った。
< 103 / 236 >

この作品をシェア

pagetop