シオン【完結】
静かだけど、普段の静かさとは違う。
何か異様な空気に感じて、息苦しい。
これじゃ、放課後…、やばいんじゃねえの?
どうにか祥太郎を引きつけておかないといけないんだ。
迫り来るタイムリミット。
運命が俺を嘲笑っている様に思えて仕方なかった。
授業を終える鐘が鳴った途端、号令を聞かずに祥太郎は教室から出て行く。
俺はそれを追いかけた。
「祥太郎!」
そう呼び掛けるが、祥太郎が止まる気配はない。
「聞けって!」
どうにか祥太郎に追い付くと、肩をがしっと掴む。
だけど、こっちを向こうとはしない。
「しょうた…」
「……少し放っといて」
俺の言葉を遮ってそう言うと、祥太郎は掴んでいた手を弾いてその場から去って行く。
後ろ姿を俺は黙って見つめた。
もう、それ以上追い掛ける事は出来なかった。