シオン【完結】
呆然とその場に立ち尽くしていると、後ろからパタパタと足音が聞こえる。
「遼佑!」
ゆっくりと振り返ると、そこには久美がいた。
「祥君は?」
「…ちょっと放っておいてって」
「そっか」
「放課後、ちゃんと話そう」
「そうだね。……ごめんね、遼佑」
「え?」
久美はそう言ってから唇を噛んで俯く。
「私の所為で…遼佑は何も悪くないのに」
「何言ってんの」
それに関しては俺も同罪。
それに、きっと俺の方が悪い。
断ろうと思えば、いくらでも断る事は出来た。
いくら、俺に付いて来て欲しいと言われてもだ。
これはきっと、心の奥底にある自分の気持ちを優先してしまった結果。
無意識に。