シオン【完結】
「…大丈夫だから。久美は心配するなよ」
「うん。ありがとう」
「ほら、あんま俺と一緒にいるとまた言われるし、祥太郎も良く思わねえから」
「…うん」
悲しそうに眉を顰める久美に微笑むと、離れる様に促した。
俺が原因で別れたとかなったら、きっと一生自分を許せなくなる。
何の為に自分の気持ちを押し込めてまで、二人を応援したのかわかんなくなる。
本末転倒じゃないか。
二人には幸せになって貰わなきゃ、今の俺がここにいる意味がなくなるんだ。
だけど、祥太郎が放っておいてくれと言ってた手前。
追いかける事ももう出来ない。
一度トイレに行ってから戻るか。
チャイムギリギリで教室に入ると、そこに祥太郎の姿はなかった。
それから、昼まで祥太郎は戻って来なかった。