シオン【完結】
「お邪魔しまーす」
「おう」
大学生の一人暮らしだから、八畳のワンルーム。
まあ、そんなもんだろ。
別にこれで何も不便してないからなあ。
ベッドもソファとして使えるヤツ買ったし。
だから、久美の指定席はこのソファの俺の右隣。
迷う事なく指定席に座ると、早速久美が口を開いた。
「さって、今年はどうしようか」
読んでいたファッション雑誌を閉じると、俺は腕を組む。
「うーん、去年はディズニーだしなあ。あれ以上のテーマパークって難しくね?」
「確かに。まあ、行ってみたら違う楽しさもありそうだけど」
「それはそうだろうけどな」
「どこ行ってもクリスマス気分だもんね」
「本当に」
「今年もディズニー行く?」
「それもありっちゃあありだな」
それからも二人していい案が浮かばない。
だけど、こうやって悩む時間も俺は楽しんでいる。
久美はどうだかわからないけど。