シオン【完結】
「俺…それが許せないんだよ。りょう」
「……ごめん、祥太郎」
「………」
「なあ、放課後に久美も交えて話をさせてくれ」
「………」
「しっかりと理由を話したい。
言い訳になるかもしれないけど」
「……わかった」
その返事に俺はホッとした。
祥太郎自身も、このままではダメだと思ってくれてるのかもしれない。
祥太郎が気の済むまで俺を殴ってくれたって構わない。
俺は、二人に笑って貰いたいんだよ。
「行くわ」
「…ああ」
そう言うと、祥太郎は踵を返して歩いて行く。
祥太郎の背中を見つめながら、俺は拳を握り締めた。
後悔したって遅いのに。
過去に戻る前に、どれだけ後悔したか。
失ってからでは遅いのに。
お願いだから、久美とは別れるって言わないでくれよ。