シオン【完結】
…今。
何が起きた?
「きゃああああ!!!」
「事故だ!!」
「救急車!!!」
大声で騒ぐ周り。
集まって来る人。
だけど、俺の耳にそれは入らない。
倒れた、その人物しか見えない。
「………く、…」
声が、掠れて出ない。
喉の奥が張り付いて、声帯がくっついて閉じてしまってるかの様だ。
その人の名前を呼ぼうとするのに、呼べない。
近付こうとするのに、前に足が出ない。
動かない。
そんな俺の前を駆け抜けた人が、叫ぶ。