シオン【完結】
携帯を見る。
さっきまで聞こえてた祥太郎の声。
……記憶を取り戻したと同時に、何かが一気に動き出した様な気がする。
それから、俺はメモリーから斉藤の番号を探して電話をかけた。
寒さなんて感じなかった。
すぐに斉藤が電話に出る。
「あいーどしたー」
「あ、あのさ、祥太郎と連絡ずっと取ってたのか?」
「え?あ、ああ、連絡来た?でも、連絡先聞かれたの結構前だぞ」
「え、そうなの?」
「おう、秋ぐらいだったかなー?すっかり忘れてたよ」
「祥太郎とは会ったりしてんの?」
「いや、あんまり。どちらかと言えば遼佑のが会ってる」
「そうなんだ」
それから数分、斉藤と他愛ない話をして電話を切った。
…何で今更電話して来たんだろう。
すぐに電話して来なかったんだろう。
考えてもわからない事だらけだ。