シオン【完結】

ぎゅうっと拳を握り締めると、俺は自宅へと向かった。


約束の日まではあっという間だった。
準備をして、待ち合わせ場所に向かう。


…祥太郎はきっと俺の事、憎んでるんだろうな。


俺の所為で久美は死んだようなモノだ。


俺さえいなければ、久美は死ななかった。
…俺が死ねば良かったのかもな。


俯きながら、そんな事を考える。


今日の風はいつもよりも俺に冷たく当たってる様に感じた。
気の所為なのはわかってる。


待ち合わせ場所に到着すると、既に祥太郎がいた。


「お、久々!りょう!」


俺に気付くとそうやって、昔と変わらない笑顔で俺に手を上げてくれた。
それだけで、涙腺が刺激される。

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