シオン【完結】
物想いに耽っていると、お母さんから声がかかった。
「ねえー久美?中学の制服しまってなかったっけ?
お隣のレナちゃんが今年入学で、お古使うかなと思ってさ」
「あー。押し入れにあった気がする。探しておくね」
そう返事をすると、私は一度息をついた。
とりあえず、考えるのは後。
探そうっと。
レナちゃんかあ、最近遊んでなかったなあ。
そう思いながら、押し入れの中を漁って行く。
そこで。
ふいに目に入ったのは。
――――――私の日記帳だった。
…これ。
ドクンと一度心臓が鳴った。
祥君との思い出がたくさん詰まった日記帳。
もう、見る事なんてないと思って。
捨てたくもなくて、奥底に仕舞い込んだモノ。
それを手に取る。