シオン【完結】
見るのが辛くて、日記帳から目を離す。
紙の重みでパラパラとページが捲れて行く
自然と開いたのは、多分最後のページ。
それが目に入った時、私は
「え?」
無意識にそう声を漏らしていた。
【○月×日
初めまして、過去の久美。
未来の久美です。】
そんな突拍子のない言葉でそれは始まっていた。
日付は、祥君の命日の二日前。
その日記帳を私は食い入る様に見る。
【信じてくれるかわからないけど、私は未来からやって来ました。
理由は、遼佑を助けたかったから。】
…遼佑?
どうして遼佑が出て来るの?
わけがわからない。
これは誰かのイタズラ?
でも。
ずっとここにしまってたし。
誰かが弄るとも思えない。
…それに、この字は確かに私のモノだ。
見慣れたクセのある文字。