シオン【完結】

祥君、元気でいますか。

お墓になんて絶対来れないって思ってたけど、遼佑のお陰で来れてます。
来年も絶対に来るからね。


心の中で祥君に語りかけると、私はそっと目を開けて祥君のお墓を見つめた。


あ、やばい。泣きそう。



「遼佑、ちょっと桶返して来るよ」

「え?いいよ、俺行くって」

「中身ないし、軽いからいいよ」


泣き顔を見られたくないから、私はそそくさとその場を後にする。
一度振り返ると、遼佑は祥君のお墓に向き合っていた。


半ば強引に言ったから、おかしく思ってないかなと思ったけど。
よかった。

ほっと胸を撫で下ろすと、私は桶を返しに向かう
その道中で、涙はすっかりと引き遼佑の待つお墓前へと戻った。


「…祥太郎」


お墓目前で。

そう、遼佑の声が聞こえて私は足を止めた。


聞く気なんてなかった。

だけど、私が近くにいる事に気付いていない遼佑は続けた。
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