シオン【完結】
日記帳
そして、その年のクリスマス。
会う約束をした私達。
もしかしたら。
そのデートにはそんな期待も含めて。
あれから、私はあの日記帳に毎日の出来事を書いていた。
どんな事でも。
その殆どが遼佑のモノだった。
それを嬉しく思う私がいたんだ。
イルミネーションが綺麗な歩道を並んで歩く。
息が白くて、風が冷たい。
肩を竦めながら、私は隣にいる遼佑を見る。
私の視線に気付いた遼佑は、優しく問いかけた。
「寒い?」
「ちょっと」
「はい、どうぞ」
遼佑は私の手を取るとPコートのポケットへと突っ込む。
温かい。
もちろん、遼佑の手の温度とか、そう言った部分もあるんだけど。
違くって。
遼佑の優しさが温かい。