シオン【完結】
それから、私と遼佑は一つずつ思い出を心に刻んで行く。
歳を重ねるごとに、私は二十歳を迎えるのが怖くなって行った。
遼佑を好きって気持ちはきっと変わらないと思う。
でも、覚えてない何かを思い出すのは辛い。
どんな感覚かもわからない。
遼佑が死んだんだ。
目の前で死ぬ瞬間を見たのなら。
それを思い出すのはとても怖かった。
恒例になりつつあるダブルバースデーの予定を決めた翌日、私はバイトに向かう。
去年はディズニーに行った。
クリスマスの装飾が施されたディズニーはカップルで行くにはもってこいだ。
ミニーのカチューシャを付けながらはしゃぐ私を、遼佑は目を細めて見つめる。
少し子供っぽかったかなって口を噤むと、遼佑は「可愛い」って言ってくれた。
嬉しくて、恥ずかしくて、結局大人しくなっちゃったんだけど。