シオン【完結】
駅前にまだ遼佑の姿はなかった。
ちょっと早かったんだ。
そわそわしながら、私は遼佑の姿をキョロキョロと探す。
人混みの奥から、見える遼佑。
私に気付いてたのか、遼佑は私と目が合うと微笑む。
遼佑がいつも着てるPコート。
ボトムは黒とグレーのギンガムチェックのスラックス。
タートルネックに、ボルドーの靴。
何だろう、いつもよりカッコよく見える。
今日の日の為にって少しでもオシャレしようとしてくれたのなら、嬉しい。
二人して見たかった映画を観て、ディナービュッフェに行く。
それから、遼佑の自宅。
まさか、私のカバンにプレゼントを仕込まれてるとは思ってなくって、家で発見した時は本当に驚いた。
私も気付けって感じだったんだろうな。
全く気付かなかったよ。
だから、もう嬉しくて仕方なかった。