シオン【完結】
涙が溢れて来て、思わず遼佑の名前を叫んでいたんだから。
風呂から出た遼佑はまだ濡れた体で、私を見ると優しく目を細める。
私の喜ぶ顔が見たかったって。
遼佑は濡れた髪の毛のまま、私の体を引き寄せて強引に唇を奪ったんだ。
その、甘さに私が逆らう事なんて出来なくって。
胸を叩いていた手をゆっくりと遼佑の背中に回した。
そのまま、ベッドに連れられて遼佑が覆い被さる。
もう、このまま。
時間が止まればいいのに。
何も思い出さないで。
遼佑が死ぬ姿なんて思い出したくない。