シオン【完結】
おやすみと言ってから、私は横になるけど眠れなかった。
と、言うより寝ない様にしていた。
もぞっと動いて、遼佑の方を向く。
すーすーと規則的に寝息をたてる遼佑の寝顔を見て自然と口角が上がる。
「あんま驚かないんだね」
そう、声がして私はハッとしながら遼佑を起こさない様に静かに体を起こす。
ベッド脇に立っていたのは、天使の使いと言っていた彼だ。
ちょこんと、布団の上に座っている。
「って、知ってたもんね。覚悟してたんだもん。当たり前か」
「……」
「まあ、君は規約を犯してしまったわけだけど、本人だからいいのかな。って感じみたい。
本来なら過去の君であってもダメなんだろうけどね」
「そうだったんだ」
「普通はパニックになるだろうから。
だけど、君はそれを受け入れたんだ。だから、って感じ」
天使の使いは飄々と話す。
そんな彼を私はじっと見つめた。