シオン【完結】
そして。
「お願いがあるの」
そう言った。
それに、彼は目をぱちくりとさせた。
「…お願い?」
彼が私の言葉を反芻する。
それに一度頷くと、再度告げた。
「そう、お願い」
彼はゆるりと口角を上げた。
そして、可笑しそうに笑う。
「何を?もう君の願いは叶えられたはずだよ」
「……そうかもしれない。
願ったモノではなかったけど。
でも、これが代償なんだよね?」
それに返事をする事なく、天使の使いは目を細める。
私の言葉の続きを待っているようだ。
「今日…遼佑の、とこにも行くんだよね?」
「さあね?」
彼はニコニコとそう言う。
真意はわからないけど、きっと行くんだと思った。