シオン【完結】
「今日、遼佑に何もしないでって伝える。
それでも、もしも…過去に戻ってしまったら…。
私の日記帳を渡してくれないかな」
凄い勝手なお願いだって、それはわかってる。
でも、きっと遼佑に伝える術はそれしかないんだ。
何故なら。
「その引き換えに君は何をするの?」
彼は腕を組みながら、私の目を探る様に見た。
私はぎゅっと拳を作ると、意を決して彼に告げた。
「…私の命を差し出すよ」
――――私はこう思ったから。
「ふうん」
彼はまるでそう言うのが分かってたかの様に、笑う。