シオン【完結】
「折角、小木祥太郎が生かしてくれた命なのに?」
「うん。わかってるよ。
私を想ってくれたんだって事は。
だけど、その所為で祥君は遼佑を失った。
それを祥君は自分の所為だって思うはず。
祥君の事だから、自分が殺したって責任感じるかも」
「……」
「もしも、私が死んだら遼佑も自分を責めるかもしれない。
…だけど、元々は私が死ぬはずだったんだ。
過去に戻るだなんて、そんな事しなければきっと二人は今頃乗り越えて誰かと幸せになってたかもしれない」
「……」
「元に戻るだけ。
何も気にする必要はないんだって事を私は伝えたいの。
だから、日記帳を渡して欲しい」
「……」
「ダメ、かな」
また可笑しそうに笑うと彼は口を開いた。