シオン【完結】
「おはよ」
遼佑はまだ寝ぼけてるのか、私の体をぎゅうっと抱き締める。
それが嬉しくて、そんな事が嬉しくて、私は遼佑の胸に顔をぐりぐりと押し付けた。
「ふふ、久美、くすぐったい」
「本当?じゃあ、もっとやろ」
「やめろって、あはは」
肩を掴まれて少しだけ距離を開けられると、遼佑が優しい顔で
「久美」
と怒る。
それに、にひひって笑うと遼佑はやれやれといった感じで息をつく。
だけど、すぐに吹き出した。
「全く久美は」
「ふふ」
遼佑の為に朝ご飯を作るって言ったら、遼佑は驚きながらも嬉しそうに笑った。
あまりにも簡単なモノ過ぎて、最後の手料理にするには申し訳ない気もするけど。
そんなモノでも、遼佑は本当に嬉しそうに美味しいって食べてくれた。