シオン【完結】
遼佑の姿を見送ってから、私はバイト先に電話をすると休む事を告げた。
それをとても申し訳なく思ったけど、今日だけはどうしても仕事にならない。
自分の家までの足取りが凄く重い。
遼佑と一緒にいると、あんなに幸せだと感じるのに。
鍵を開けて、自宅に入ると私はブーツを脱ぎ捨てる。
そのまま、ベッドに潜り込んで寝てしまいたいけど。
私は遼佑に最後の言葉を残さないと。
着替える事もせずに、机に向かってあの日記帳を開いた。
右手にシャーペンを持って、『遼佑へ』と書く。
それから、色々書こうと思うのに。
言葉が一切浮かばない。
書いては消して、書いては消してを繰り返している。
どう書けばいいのかなんてわからなかった。
これが、遼佑に宛てる最後の言葉になるのに。
…本音で、全てを曝け出すしかないよね。
それで、もしも私を嫌ったとしたらそれはそれでいいのかもしれない。
寧ろ、軽蔑でもしてくれたら遼佑は私が死んだって事に後ろめたさを感じないかもしれない。