シオン【完結】
そう思ったら、自然とペンが進んだ。
遼佑に充てる言葉を書いてから、私は祥君にも書く。
一緒に見てくれるといいな。
もしかしたら、私がいなくなったって事で仲良く出来ないかな。
…でも、あの二人なら大丈夫だよね。
“祥太郎”
“りょう”
そうやって、お互いを呼び合ってた二人。
仲良くサッカーをする姿しか浮かばない。
書き終えてから、私が涙を流す事はなかった。
自分の気持ちを全て書いたからかもしれない。
だから、妙にさっぱりとした気持ちだった。
それでも、運命の時間が迫って来るのは怖かった。
一分一秒過ぎるのが、怖かった。
遼佑の元へ走って行って、腕の中に飛び込みたい。
そんな気持ちが膨らんでは消える。
ぼーっと私はその時間を、床に座って待った。
遼佑との思い出がたくさん頭を過ぎる。
クリスマスプレゼントに渡されたネックレスが私の胸元で光った。
「……遼佑」
もう、既に真っ暗になってしまった室内で私はぽつりと呟いた。