シオン【完結】
「あっちはいいとこだよ」
「…あっちって天国?」
「そっちの世界で言う天国かな」
「違うの?」
「うーん、そういう名前とかないからね」
「そうなんだ、そういうもんなんだ」
「うん。これはいつ渡す?」
「…そうだなあ。クリスマスとかは?」
「プレゼントなわけ?」
「…うん。嬉しくないかもしれないけどね」
「わかった」
そう言うと、彼は日記帳を片手に抱えて微笑む。
初めて、彼がこういう顔で笑うとこを見たかもしれない。