シオン【完結】
だけど、当の俺はポカンとそれを見つめる。
…何?何かのノート?
益々、わけがわからない。
訝しげな顔をしてるであろう、俺に男の子は口を尖らせる。
「ええ~?喜ばないの?」
「……何それ」
「これ?え。わかんない?この字、見覚えない?」
「………」
字?
俺はそのノートの表紙に書かれている文字を見て、目を見開いた。
「……そ、れ」
少しクセのある文字。
見る人が見たらすぐにわかる、久美の丸文字。
それが俺は女の子らしくて、可愛いと思ってたけど。
「ぴんぽ~ん!小森久美からの預かりモノでした!」
「………」
預かりモノ?
何で、こいつが預かってるわけ?