シオン【完結】
「色々教えてあげたいけど、全てここに詰まってると思うから言わないでおく」
「………」
「はい、どーぞ」
そう言うと、男の子は俺に久美の日記帳を差し出した。
「ボクとはこれで最後になるだろうけど」
「……」
「小森久美の笑顔を守る為にどうすればいいのかって…、お兄さんならもうわかってるんじゃない?」
「っ」
ふふんと男の子は誇らしげに笑うと、光に包まれて行く。
何も言えないまま俺はそれを見守った。
光が消えて、男の子も消えた後。
視線の先にあるのは、久美の日記帳。
日に焼けてたりして、年季が入ってる。
結構前からのモノなのだろうか。
誰かの日記を読むってのは気が引ける。
だけど。