シオン【完結】
「本当だな」
平然を装いながら返事をすると、久美はまたイルミに視線を戻した。
そんな久美の手をそっと握り締める。
久美はまた俺を見ると、嬉しそうにはにかんだ。
本当に幸せだと思った。
世界で一番幸せなんじゃないかって思えるほど。
「もう少しイルミ見てからウチ行こうか」
「うん」
それから、久美が満足するまでイルミを見て帰路についた。
俺の家に到着すると。
帰りに買った小さなケーキを広げて、二人してお祝い。
蝋燭に火をつけて、電気を消す。
手拍子をしながら、二人でハッピーバースデーを歌う。
そして、一緒に火を吹き消す。
こんな些細な事がとてつもなく幸せだと思った。