シオン【完結】
読み終えた時、真っ赤に目を腫らした祥太郎を見る。
きっと、俺の目も真っ赤だろう。
「……かなわねえな」
「…だな」
俺達の愛した久美は。
どうしようもなく、優しくて、笑顔が似合う女だった。
…その笑顔を守る為。
「……今度、ドライブでも行くか?」
「だな」
「あーくっそ。もっと早くりょうに連絡するべきだったな」
「……俺も思った」
「とりあえず、今日は飲みにでも行くか?」
「いいね。俺も二十歳になった事だし」
「……まじで、泣いて恥ずかし」
「……俺もだわ」
「はあ~久美以上探すの無理そう」
「俺も」
「でも、探さないとうるさそう。色々と」
「…確かに」
俺達は顔を見合わせると、あははって声を上げて笑った。