シオン【完結】
「来年の久美の墓参りは一緒に行こうな」
「当たり前だろ。久美の家にでも行くか?
りょうも行ったら喜ぶんじゃね?」
「だな。あー久々に実家にも帰らねえとなあ」
「俺は記憶戻ってすぐに一度だけだけど、帰ったよ」
「やっぱり?」
「結構さー実家っていいもんだって思っちゃったわ」
「あはは、俺も俺も」
「そういえば、りょうの母ちゃん、飯うまかったよな~」
「よく憶えてるな」
「おう、泊まった時に思ってたわ」
「祥太郎が顔出したら、俺の母親喜ぶわ」
「んじゃ、久々に訪問だな」
俺と祥太郎は、何年も会わなかったのが嘘みたいに会話に花を咲かせていた。
これからきっと、お互い好きな人が出来て、家庭を持つかも知れない。
それでも、久美はきっと一生二人にとっての大事な人のはずだ。