シオン【完結】
去年、祥太郎と連絡を取り合ってから約束をしていた。
久美の命日、絶対墓参りしようと。
それと一緒に久々の地元だから、何泊か泊まろうかって話をした。
大学生である俺は、本来なら休むべきではないのはわかってる。
だけど、どうしても今年は命日に来たかったんだ。
新幹線の切符を改札に通して、俺と祥太郎は車内に乗り込む。
自由席は運良く空いていて、荷物を置くと二人して一息ついた。
「自由席空いてなかったらどうしようって思っちゃった」
「俺も。意外と空いてるんだな」
「いや、運良かったんだって。ホラ」
そう祥太郎が顎をくいっと動かして指す。
続々と人が乗り込んで来て、いつの間にか席は埋まっていた。
「本当だな」
それから、新幹線が発車の音声と共に動き出す。
徐々に動く景色を見つめていると、祥太郎の嬉しそうな声がした。
「さってと。駅弁駅弁」
先程、購入した駅弁を早速広げる祥太郎。