シオン【完結】
秋晴れって言うぐらいだからな。
皮肉にも、それがアイツの涙なんじゃないかとか思ったりして。
少し、詩人っぽいか。
そんな自分に嘲笑してから、窓に向けていた視線を机に戻し再び勉強に戻る。
レポート、しんど。
カリカリとシャーペンを走らせながら、俺は一度背伸びをした。
平日の真昼間。
図書館で俺は明日提出するレポートの仕上げをしていた。
背伸びをした俺の目の前に座った人物が目に入る。
そいつを見て、俺は眉根を寄せた。
「…遅い」
「ごめんっ」
開口一番に文句を言うと、素直に頭を下げて謝罪の言葉を口にする。
それから、一応そいつの言い訳を聞く。
「ちょっと、お花屋さんにね」
確かに、後ろに花が見える。…仏花。
「…そっか、俺持って来てないから助かる」
「いつもじゃん」
そうやって、久美はニッコリと笑って席につく。